市川 愛の書籍
お葬式について知っておきたい58のこと
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著者:市川 愛
出版社: PHP研究所
1,260円 (本体価格:1,200円)
176ページ / 縦:21cm 横:14.9cm
発売日: 2012/1/13 |
目次
【第1章】葬儀社選びについて知っておきたいこと
1.ご臨終後でも、二時間あればちゃんとした葬儀社は探せます
2.搬送してもらったからといって、葬儀を依頼しなくてもいいのです
3.見積もりは、二社以上の葬儀社に依頼しましょう
4.最終的には、実際に話をした印象で決めてください
5.インターネットで簡単に葬儀社を見分ける方法があります
6.「お任せします」「普通で結構」は禁句です
7.“遺族目線”が良心的な葬儀社の条件です
8.「資格」は必ずしもアテになりません
9.お葬式を延長して、ゆっくり探すという選択肢もあります
10.自宅にご遺体を安置できないときは?
11.お葬式はやり直しがきかないからこそ、探して、相談して、選んでください
【第2章】通夜・告別式について知っておきたいこと
12.喪主に悲しんでいるヒマはありません
13.友引にお葬式を行なってもかまいません
14.訃報を知らせる範囲は、年賀状が基準です
15.お葬式の場所 決め方・選び方
16.供花を並べる順番には、細心の注意を払いましょう
17.弔辞を誰に頼んでいいかわからないときは、やめてしまっても大丈夫です
18.「通夜振舞い」は全国共通ではありません
19.棺に納めてはいけないものがあります
20.火葬場には、ご遺族が声をかけた人だけが同行します
21.都市部では火葬に一〇日待ちということもあります
22.「火葬のみ」の直葬も可能ですが、おすすめはしません
23.故人に敬意を払い、ご先祖様に思いを馳せましょう
【第3章】費用について知っておきたいこと
24.「葬儀一式△△万円」に惑わされてはいけません
25.「追加料金ゼロ」にも惑わされてはいけません
26.互助会の「積立金」だけで、お葬式はできません
27.家族葬や密葬は、必ずしも安上がりではありません
28.あなたの地域の平均的な金額を知っておいてください
29.サインする前に、もう一度しっかりチェックしてください
30.こんなおかしな見積もりがありました
31.見積もりの注意点は、まだあります
32.供花を使えば、花祭壇の「花」を節約できます
33.無駄を削って一〇〇万円節約する方法
34.こだわりの部分には、お金を惜しまないでください
【第4章】お布施について知っておきたいこと
35.お布施の金額がわからないときは、お寺さんに聞いていいのです
36.お布施を渡すのは、お通夜の読経前です
37.戒名・院号は「つけてもらう」のではなく「授かるもの」です
38.「自分で戒名」は、おすすめできません
39.お坊さんも派遣される時代です
40.三十三回忌まで、供養は続きます
【第5章】お墓について知っておきたいこと
41.お墓は一〇〇年先を見て選んでください
42.墓地には三つのタイプがあります
43.霊園選びのチェックポイント
44.よい石材店と、かしこくつき合いましょう
45.石材店選び 四つのポイント
46.墓地の値段は、「墓石+永代使用料+管理費」の総額です
47.お墓は自分の土地ではありません
48.「お墓を建てない」という選択もあります
49.自然葬も一長一短です
【付章】終活について知っておきたいこと
50.人生を振り返ることで、未来が見えてきます
51.年表形式で自分史をまとめてみましょう
52.財産を見直し、誰に相続するかを考えてみましょう
53.自分のお葬式について「生前準備」をしておきましょう
54.献体、臓器提供、尊厳死についても書いておきましょう
55.エンディングノートは自由に、ワガママに書きましょう
56.書いたことは、家族と共有しておきましょう
57.遺影用にお気に入りの写真を選んでおきましょう
58.準備は、みんなが元気なときから進めておきましょう
解説
私が葬儀相談員として、お葬式の準備をお手伝いする仕事を始めたのは2004年のことです。
葬儀相談員というのは、耳慣れない言葉だと思います。
簡単に言うと、みなさんがお葬式で後悔しないために、あるいはトラブルに遭わないために、葬儀社との間に立って調整を図るのが主な仕事です。
当初は葬儀業界自体が“謎のベール”に包まれていて、世間から絶離されたような状況でした。ところが、ここ10年ほどの間に大きな変化が起こっています。
インターネットが急速に普及したことで、葬儀社が自らホームページを立ち上げ、これまで公に語られることのなかった「お葬式の費用」についても、積極的に公開するところが増えてきたのです。
また、家族葬や密葬など、時代のニーズに合わせた小さなお葬式を得意とするユニークな葬儀社も次々と現れています。
もちろん、葬儀社がホームページで公開している内容を、すべて鵜呑みにはできません。
本文で述べるように、インターネットの情報は、あくまで葬儀社選びの入り口にすぎないのですが、それでも、ひと昔前と比べると、葬儀業界が消費者に大きく歩み寄ってきたことはたしかです。
ところがこうした風潮に対して、利用する側の方たちが、いまだにお葬式に対してきわめて無頓着なままなのが、私には残念でなりません。
人は必ず亡くなります。
ご家族もご自身も、誰もがいつかは葬儀社のお世話になる日が来るわけですが、事前の準備を何もせずに、結局、その日が来てから、“行き当たりばったり”で見つけた葬儀社に、すべて任せている方が実に多いのです。
たしかに、お葬式のやり方をまったく知らなくても、葬儀社に頼めばすべてやってもらえます。
喪主は葬儀社の言うとおりに動き、あいさつをし、お金を支払えば、お葬式は成立します。
しかしその結果、お葬式を終えたあとで、予想外の金額の請求書を受け取ったり、不満ばかりが残るお葬式になってしまったりして、後悔している方々がたくさんいるのです。
お葬式を終えた人を対象としたアンケート調査では、実に八割の方が「何らかの後悔をしている」という結果が出ています。
後悔している理由としては、お金のこと、そして葬儀社スタッフの対応についてあげる人が多く見られます。
「葬儀社にだまされた」という意識が強いのかもしれません。
しかし、事前に何の準備もせずに、葬儀社に任せきりにしてきた私たちにも、責任の一端があることに、ぜひ気づいていただきたいのです。
人生最後の大切なお別れの場面を、よりよいものにするには、ご家族がみな元気なときから、お葬式や、それにまつわることについて、しっかりと準備をしておくことが大切です。
とはいえ実際のところ、忙しい毎日を送っていると、「なかなかそこまで気が回らない」というのも事実でしょう。
「いつかはやらなければ」と思っているうちに、突然その日が着てしまう ─ それが、お葬式の現実だと思います。
お葬式は、ご家族が亡くなったあと、お通夜、告別式が終わるまで、息をつく間もないほどあわただしく過ぎていく、いわゆる「三日間戦争」です。
この三日間を無事に終え、納得のいくお見送り、満足度の高いエンディングを実現するために、本書の内容が少しでもお役に立つことができれば幸いです。
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